6.大盛りについて
最近、何かブログに書けるネタがないかと日常の中で遭遇したイレギュラーな現象を書き留めたメモがあるのでその中からいくつかお話したいと思います。
①『大盛ってちゃんと言ったか不安になる』
とある休日、ショッピングモールのフードコートでお気に入りの店の唐揚げ定食を食べにきた時のことです。
この店を僕が好んでいるのには二つほど理由がありまして。
まず唐揚げがものすごい山盛り。
毎回「これ何個盛られてんだろなあ」と思いながらも、実物を目の前にするとその唐揚げマウンテンの存在感に圧倒され数を数えるなどという無粋な考えも吹き飛ばされる始末。
しかもそのボリューム感にダメ押しの『ご飯大盛り無料サービス』。
極カロリータンパク質の山に寄り添うかのようにそびえ立つ炭水化物!!!
両雄並び立った激デブ連峰!!!!!!
注文時、店員さんに一言「ご飯大盛りで」と申し出るだけでこの奇跡のような光景が卓上に再現されるというわけです。
かくして僕はルンルンで注文を済ませ、レシートと呼び出しブザーを受け取り、
適当な席を見つけ着座……
ここで脳裏に去来する、一抹の違和感。
『あれ?僕「大盛りで」って言ったっけ?』
…ほんの数十秒前。移動距離にして10メートル足らず。
たったそれだけの時間的隔絶は、僕の海馬が先程の店員との会話ログを消し去るには十分すぎるほど永いのです。
仕事が遅いと言われがちな僕の脳はこと忘却という点においてはとりわけ勤勉で行動が早く、かつ徹底した仕事ぶり。もはや自力で思い出すのは不可能だと断定できます。
そもそもこのケース、勘のいい読者様ならお気付きかも知れませんが、
完全なる『悪魔の証明』なのですよ。
「大盛りで」と言った証拠がない以上、『「大盛りで」と言ってない』可能性を否定することは不可能なわけで。
そこで僕は閃きました。
八方塞がりの現状を打破する一手、それはまさに僕の手中にすでに収まっていました。
「…レシートに『証拠』があるッッ!!」
「レシートには客の『注文』が印刷されているものだ…」
「つまり!!僕が『大盛りで』と『注文』したならッ!!」
「ここには…
ライス大盛りと印刷されているはずなのだーーッッ!!!」
脳内で勝ち確BGMを鳴らしながら決めポーズをとる(※イメージです)僕。
ゴゴゴゴゴ…とレシートに目をやります。
…ここで発動、大盛り無料の罠。
そう、レシートに記載されているのはあくまで『金銭が発生する』注文のみ。
お店の温情でサービスしてくれている大盛りライスを律儀に記録する義理はないわけですよ。
そして無情にタイムアップを告げるブザー。
お膳の上に置かれたライス(並)。
僕の5分間の死闘はあっけなく終わりを告げました。