鞘田空太の迷走

青年は今日も迷走する。

2.ミサイル寿司について

ういう名詞+名詞でできてる概念の場合、概ねそのシニフィエに近いのはより後にくる単語なんですよね。

 

クルマエビは車じゃなくてエビだし、手足口病は手でも足でも口でもなく病なわけで。

 

となるとミサイル寿司の場合、概念の核を成しているのは寿司ということになりますね。

 

寿司。

 

おなじみの概念ではありますけど、冷静に考えたら『寿司』ってネーミングとんでもないですね。

 

寿を司る」ですよ?縁起物のラスボスみたいな風格じゃないですか。

 

そんな威厳ある名前のわりに万人に親しまれてるのって、絶対寿司を回転させようなんて考えたエキセントリック・輩のせいだと思うんですよ。

 

一昔前までは黒光りする漆塗りの桶に整然と並べられていたものを、

 

現代ではそれを「回らないお寿司」なんて言ってありがたがるんですよ。

 

いや、歴史的観点から見れば寿司が回ってる方が異常事態だろうと。

 

なんで回ってる方がデフォルト扱いになってるんだと。

 

しかし歴史はいつも勝者の側から語られるもので、今や主流は回転寿司。

 

要は定着してしまえば勝ちなんですよね、概念なんてものは。

 

そうです。

 

時代は移り変わり、概念は刷新していくもの。

 

そろそろ回転寿司も潮時なんじゃないのかい?

 

そこでこれですよ、ミサイル寿司。

 

さあどう調理したものか…

 

まずミサイル寿司におけるミサイルが何を意味しているかによって全然違ってきますよね。

 

最初に思いつくのは、メロンパンのように冠した名詞(メロン)が風味を表しているケース。

 

…ミサイル風味。ミサイル風味か…

 

ミサイルに味があるとしても、それってガッツリ調理済みの味ですよね?

 

絶対複雑な味ですよ、りんごとかオレンジみたいな一本の味でないことは確かです。

 

カテゴリとしてはカレー味とかに近くなるんじゃないかな?沢山の素材でできているという点では。

 

となるとシンプルに素材の味を活かすスタイルの寿司とは相性が良くなさそうですね。酢飯にカレー粉かけるようなものです。(そういえばシャリカレーってあったな…意外とアリかもしれない?)

 

あとそもそも、ミサイルの風味を構成する成分って一貫食べたら致死量なのでは?

 

風味の線は消えましたね。

 

となると次に思い浮かぶのは…調理工程ですか。

 

つまり『押し寿司』だとか『巻き寿司』のように、どういう過程を経て寿司として完成したかを表す名前としてのミサイル寿司。

 

寿司握るのにどうミサイル使うんだ。

 

老舗江戸前寿司店に押し入って、ミサイルランチャーをチラつかせながら大将に握らせた寿司…

 

それただの恫喝寿司ですね。

 

多分ロケットランチャーで威嚇しながらでも同じものが出てきそうなので、ミサイル独特の強みでは無さそうです。

 

味でも調理法でもないとすると、ミサイルを文字通りに受け取っているのが問題かもしれませんね。

 

ジャイアント馬場とかプリンセス天功みたいな、形容詞としてのミサイル寿司だとするとどうか?まるでミサイルのようだ、という意味で。

 

カウンターに座ると、大将の手から放たれたマグロが目の前に"着弾"して四散するわけですね。

 

無理があるな。

 

完全に行き詰まってきたので、別の角度からのアプローチを入れましょう。

そもそも『ミサイル』とはなんぞや?

 

Wikipediaによると『ミサイルとは、目標に向かって誘導を受けるか自律誘導によって自ら進路を変えながら、自らの推進装置によって飛翔していく軍事兵器のこと』

 

だそうで。

 

この説明に倣って言うなら、

 

『ミサイル寿司とは、客に向かって誘導を受けるか自律誘導によって自ら進路を変えながら、自らの推進装置によって飛翔していく軍事寿司のこと』

 

になりますね。方向性が見えてきました。Wikipediaは便利ですね。

 

さてこうなると寿司の側にかなりの改造が求められますね…

 

まず所属が江戸前から防衛省になります。

 

最低要件が『軍事寿司』であることですから。

 

下町の大将が勝手にミサイル寿司を保有してたら銃刀法違反で実刑判決もあり得ますよ。

 

となるとミサイル寿司が我々庶民の口に入ることはなさそうですね…

 

そもそも推進装置搭載してる時点で物理的に入らなさそうですが。

 

 

…そんなわけで、ミサイル寿司を回転寿司に取って代わるニュースタンダードにすることは叶わないようです。

 

ブログってこんな調子で書くものなのでしょうか。不安しかないです。